大気が激しく変化する時は
普段見られない色が空に現れる。
今夕は
グレーの雲の向こうに、
パステルなブルーとアンバーが並ぶ。
河川敷に降り立つと
葛に覆われた草地から
甘い香りがやってきて
我が身を包む。
「ああ、葛の花が咲いたんだ」
葉に隠れた花
「あんなに甘い香りなんだから、
きっと甘さをどこかに隠しているに違いない」
重なる花をひとつまみ採って
花弁のすぼまる根元を舐めてみる。
まるで水飴のような
ねっとりとした甘さが
舌に絡みつく。
そして
そして
この花に集まる虫の気持ちも
絡みつく。